想像力の勢い

 先日読んだ大江健三郎氏の著書の中に、「想像力の勢い」という言葉を見つけた。その本は小説ではなく、大江氏が各地で行った講演を1冊にまとめたものだった。ひとつの小説を書き終えた後、想像力に勢いがついて、その先のものがたりが自然に出来上がるというようなことで、その言葉を用いていた。
 この「想像力の勢い」という言葉を目にした時、私は稽古場で起こる現象にピッタリの言葉だと思った。稽古場で誰かが新しい演技プランを実践すると、それに刺激を受けた周りの役者が新しいニュアンスを生み、また、その場には登場していない役までもが、急速に成長することもある。一人の役者の想像力が周囲の役者に大きな影響を与え、プラスの連鎖を生む。これも「想像力の勢い」がなせるわざなのではないかと思ったのだ。
 稽古場では秋季公演の稽古も始まっている。私にとって、稽古場でこのような現象が起こる時が最も楽しく、なんだか得した気分になるのだ。  ぶーにゃん

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