三月の大雪

 未知のウィルスの猛威が、世界中を震撼させています。東京では、桜が満開になったと浮かれていたら、一転、今日は大雪が降って、外は真っ白の様相。どうせ外出自粛だからまあ良いか!などと投げやりな心持ちになっており……。
 そういえば、30数年前、三月に大雪が降った。私の記憶では、4月公演間近の、追い込み稽古の時だったように思う。家を出た時はまだ、それほどの降雪量ではなかった。当時、私は阿佐谷に住んでおり、中央線に乗って、お茶の水まで行き、そこから地下鉄に乗り換えようと思っていた。しだいに雪が強くなり、中野で電車が止まってしまった。その頃は携帯電話もなかったから、とにかく稽古場へ行かなくてはと思い、地下鉄ならば動いているだろうと考えて、中野駅から丸ノ内線の新中野まで歩いた。ぼた雪が凄い勢いで降って、あっという間に雪が積もった。場所によっては膝上まで雪があり、かき分けながら駅へと急ぐ。
 なぜ、あの時、私の中に、稽古場へ行かないという選択肢がなかったのだろう。電話ボックスを見つけることができなくても、駅には公衆電話があったはずだ。稽古場へ行くことが、その時の私にとって、とても大切なことだったのだろう。
 結局その日は、欠席者が多く、稽古は行われなかった。
 世の中の状況に鑑みて、今週は稽古場での稽古は行われません。今は、役者それぞれが、自分の役を、芝居を、静かに深めてゆく、そのような時間になるのでしょう。 ぶーにゃん

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